杉田 本日は,皮膚バリア機能が関わるアレルギー疾患について,基礎と臨床の立場からお二人の先生にお話をうかがっていきたいと思います.本題に入る前に,まず先生方がアレルギー研究の道を選ばれたきっかけを教えていただけますか.
出原 米カリフォルニア州のDNAX分子細胞生物学研究所(当時)に留学していた1991年からの3年余り,私はIL-4のシグナル伝達機構の解明を研究テーマにしていました.IL-4受容体がクローニングされた頃で,次のステップとして細胞の中での動きを見ようとしていたのですが,別のグループが先にJAK-STATの経路を見つけてしまいました.同じ研究所の隣のラボにはILC2の発見者として知られるAndrew McKenzieがいて,新しいサイトカインを見つけたけれども,IL-4に似た作用でつまらないと言っていたのを憶えています.その後,そのサイトカインには,IL-13と名前が付けられています.
私はもともと内科だったのですが,この留学中に行っていたIL-4の基礎研究を臨床にフィードバックさせたいと考え,日本に戻ってから,アレルギーの道に入ったのです.