第4回EAGOR (East Asian Group of Rheumatology,会長:髙崎芳成)が,2011年10月15日に東京・京王プラザホテルにて開催された.本会は1997年から行われていた日韓リウマチ・カンファレンスに中国を加え東アジアの会として発展したもので,第1回(原まさ子会長)は2005年に東京にて催された.EAGORは,「リウマチ医療に関する新しい知見の情報交換や人種的に近い東アジアの疫学・遺伝子解析などのデータを共有し,またそれらを通じて近隣3国の親睦を深めること」を目的にAPLAR(環太平洋アジアリウマチ学会)の合間の隔年に開催されており,2007年のソウル,2009年の北京に続き,第4回は東京で2度目の開催となった.


 前日の夜には同ホテルにて3国のコーディネーター,韓国・中国からの参加の先生を中心としたWelcome Receptionが行われた.3国の歴史的な結びつきを紹介した会長挨拶に続き,韓国の中心メンバーであるThe Catholic University of KoreaのHo-Youn Kim教授のスピーチと乾杯でパーティーが始まった.久しぶりの再会もあり,着席の会であったがテーブルを超えて人が行き交い,楽しそうに久闊を叙す姿が見受けられた.会の半ばには,EAGOR恒例であるYoung Investigator Awardの授与が行われた.また,この会では当教室の非常勤講師である官川薫先生のすばらしいピアノ演奏が宴を盛り上げてくれた.最後に中国代表として北京大学のZhan-Guo Li教授からご挨拶いただいたが,その後に檀上で中国・韓国からの出席者が紹介された.パーティーの終了後も名残惜しいように会話がはずんでいた.






 翌日は早朝から学会が開始された.内容はリウマチ・膠原病の基礎と臨床の全般に及び,関節リウマチの基礎系・臨床系と2つのシンポジウムならびに4つの口演セッションを含めた幅広いプログラムとなり,口頭発表33,ポスター発表76と100を超える演題数となった.そのうち57演題が韓国・中国からで,また日本の施設からも多くの発表があった.また,シンポジウムの始めには座長の先生にその分野におけるkey note lectureをしていただいた.さらに,慶應義塾大学の小安重夫教授に特別講演をお願いし,“Natural Helper cells mediating Th2-type innate immunity”のタイトルで,リウマチ医にとって非常に興味深いお話をいただいた.発表は早朝からランチョンセミナー,ポスター閲覧をはさみ夕刻まで行われ,長時間であったが活発なディスカッションが交わされた.終了後にはFarewell Receptionが行われ,再度楽しいひと時を過ごした.

 2009年の北京でのEAGORは新型インフルエンザの流行期と重なったが,今回は東日本大震災と福島原発事故で学会の中止や延期が相次ぎ,当初は開催自体が難しいと思われた時期もあった.その後も原発関連のニュースは続き,韓国・中国からの演題応募が少ないことが危惧された.しかし,各国コーディネーターの先生方のご協力をいただき,最終的には多くの演題が登録され,多数の参加者を迎えることができた.

 学会前日のWelcome Receptionに先立ちコーディネーター会議が行われたが,その席で昨今リウマチ関連の学会が多く多忙な状況にあるものの,EAGORは学術的な面だけではなく,東アジアの若手リウマチ医を奨励し,さらに3国のリウマチ医の親睦を深める意義が高いことから,今後も隔年で開催していくことが確認された.日本EAGOR事務局として学会の準備や当日の運営にかかわって,その意味がより実感された.次回の第5回EAGORは2013年にソウルでの開催が決定された.

 最後にこの場をお借りして,東京でのEAGOR2011開催にご尽力いただいたコーディネーターの諸先生,学会にご参加いただいた先生方をはじめ,ご協力いただいた皆様に感謝いたします.




順天堂大学医学部膠原病内科学講座先任准教授

田村直人 Tamura Naoto