特集 糖尿病に合併する動脈硬化症
循環器内科専門医から診る糖尿病合併動脈硬化の病態と診療
3)循環器医が考える心血管イベント抑制のための糖尿病治療戦略
掲載誌
Angiology Frontier
Vol.15 No.3 52-56,
2016
著者名
横井 宏佳
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
糖尿病
診療科目
糖尿病・代謝・内分泌科
/
循環器内科
媒体
Angiology Frontier
Key Words
PCI,CABG,糖尿病,SGLT2阻害薬,GLP-1受容体作動薬
PCIは冠動脈の狭窄部に対する局所治療であり,CABGと同様の長期予後を獲得するためにはPCI非施行部位のプラークの安定化治療が求められる。特に糖尿病患者の冠動脈は早期よりびまん性に動脈硬化で侵されており,心血管イベント抑制のためには血糖管理に加えて冠動脈全体に対する包括的治療が必要となる。そのためには早期糖代謝異常の段階からの介入,インスリン抵抗性への介入,食後高血糖への介入,脂質異常・高血圧を含めた包括的介入が必要である。最近報告されたSGLT2阻害薬,GLP-1受容体作動薬は有意に心血管イベントを抑制した。低血糖を生じない新たな血糖降下薬(SGLT2阻害薬,GLP-1受容体作動薬,DPP-4阻害薬,TZD)は,HbA1c低下作用を超えた心血管に対する保護的作用により心血管イベント抑制が期待されている。今後,心血管イベント抑制のために,どのような循環器疾患を有する糖尿病患者に,どのタイミングで,どのような組み合わせで,血糖降下薬を選択するべきか,HbA1cとは異なる視点から薬剤を選択することが循環器医に求められる。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。