「Summary」リンパ浮腫の治療としては, リンパ管細静脈吻合術(LVA)が有効である. LVAは, リンパ浮腫例においてうっ滞したリンパ液を静脈系に還流させるバイパスを作製する術式である. LVAの適応は, 四肢や頭頸部のリンパ浮腫で, 早期浮腫, 骨盤内リンパ嚢胞, 乳び腹水などのほか, 浮腫の予防的治療, 重症浮腫例にも適応がある. 浮腫の発生機序は, リンパ管閉塞が起こると直後に集合リンパ管の平滑筋細胞の変性と再生が起こり, その後も閉塞が続くと再生筋は消失し, 皮下の脂肪細胞増殖や線維化が起こるものと思われる. インドシアニングリーン(ICG)蛍光造影法は集合リンパ管の還流機能を直接みることができ, 潜在性浮腫の早期診断と浮腫の予後判定に有用である. 「はじめに」リンパ浮腫の治療はこれまできわめて困難とされ, その治療も保存的治療(マッサージ, 圧迫療法)と外科的治療(組織切除, 直接的または間接的リンパ誘導術1)-7))などが行われてきたが, 長期間にわたる浮腫の著明な改善は難しいとされてきた.