「はじめに」欧米では, 1990年代前半から拍動流植込み型補助人工心臓(ventricular assist device;VAD)の臨床応用が開始された. しかし, この第1世代VADはポンプ本体が大きいために植込み可能な患者体型にはかなりの制限があった. また, 拍動をつくるために多くの部品が使用されたため, 早期の故障も多く安定した長期補助が困難であった. 1990年代後半以降, 小型の連続流(非拍動流)VADが登場した. 連続流ポンプは, インペラと呼ばれる羽根車がスクリューのようにポンプ内を高速回転することによって血液を左室から大動脈へ送り出す. 連続流VADには, 遠心ポンプと軸流ポンプの2種類がある. 動く部品がインペラだけであるため, 故障が著しく少ない. 当初は, インペラの安定した高速回転を可能とするために回転軸接触点となる軸受が必須であった(第2世代). しかし, この軸受における摩擦や熱発生のため血栓が形成され, 血栓塞栓症やポンプ内血栓がやや多かった. そして, 第3世代VADの誕生を契機に合併症は大幅に減少した.