Summary
近年の精力的な研究により,アルドステロン/ミネラロコルチコイド受容体(MR)系は,高血圧や糖尿病,メタボリックシンドロームなどに伴う臓器障害の重要なメディエーターであることが明らかにされてきた。さらに最近では,アルドステロン非依存的なMR活性化機構,ステロイド骨格をもたない新しいクラスのMR拮抗薬,マクロファージなど骨髄性細胞のMRと臓器障害など,アルドステロン/MR系に関する新しいトピックスも続々と見出されている。しかしながら,アルドステロンの作用やMR拮抗薬の薬理学的作用機序などについては,いまだ未解明の部分が多い。MR拮抗薬をより効果的に用いるためには,MR活性化メカニズムの解明やMR活性化の診断法の開発とともに,積極的な臨床研究が望まれている。
Key words
●アルドステロン ●ミネラロコルチコイド受容体 ●アルドステロン非依存性ミネラロコルチコイド受容体活性化 ●マクロファージ ●腎細胞老化
はじめに
最近の精力的な研究により,アルドステロン/ミネラロコルチコイド受容体(mineralocorticoid receptor;MR)系が脳,心臓,血管,腎臓などの臓器に対して直接的な障害作用を有していることが明らかにされてきており,降圧を超えた臓器保護薬としてのMR拮抗薬の有効性が注目されている。さらに,MRはアルドステロン以外のさまざまな因子によっても活性化され臓器障害を引き起こすことが見出されており,血中アルドステロン値が低値を示す病態においてもMR拮抗薬が有効である可能性が報告されている。スピロノラクトンよりMRに選択性が高いエプレレノンが開発され,さらに最近ではステロイド骨格をもたない新しいクラスのMR拮抗薬の開発にも注目が集まっており,アルドステロン/MR系に関する研究は新たな展開を迎えている。
本稿では,MR拮抗薬の降圧作用および臓器保護作用について,最近の知見を含めて概説する。
1 アルドステロン/MR系と高血圧
アルドステロン/MR系の活性化は,高血圧の発症・進展に密接に関与している。アルドステロンは,腎臓の遠位尿細管細胞のMRを介してナトリウム・体液貯留作用を示すことから,MR拮抗薬がこれらの機序を抑制することで降圧作用を示すことは容易に想像できる。しかしながら,図1に示すようにアルドステロンは体液貯留作用のみならず,さまざまな経路を介して高血圧を発症させることが明らかになってきている。
なかでも,ラットの脳室内にMR拮抗薬を投与すると,末梢からのアルドステロン投与による血圧上昇作用を完全に抑制することが報告されており,これら中枢性の昇圧機序が最も寄与が大きいのではないかと考えられている1)。しかしながら,ヒトにおいても同様の機序が当てはまるかどうかは不明である。一方で最近,脂肪細胞およびメタボリックシンドロームとアルドステロン/MR系の関連性が注目されている。脂肪細胞のMRが活性化されると,インスリン抵抗性やアディポサイトカインの変化が惹起されメタボリックシンドロームを進行させるため,二次的に高血圧が生じると考えられている2)。さらに,脂肪細胞からアルドステロン放出因子が分泌される可能性も報告されている。ヒト培養副腎皮質細胞に単離脂肪細胞の培養上清を添加すると,アルドステロンの分泌量を増加させることが見出されている3)。まだこの因子の同定には至っていないが,脂肪細胞から分泌される何らかの因子が副腎でのアルドステロンの産生・分泌を促進していると考えられている。動物実験においても,メタボリックシンドロームラットに認められる血中アルドステロン値の上昇およびMR活性の増大に伴う高血圧がMR拮抗薬の投与により抑制されることが報告されており,これらの病態に対してMRを阻害することの有効性が証明されている4)。
現在,MR拮抗薬が臨床で用いられている病態として,原発性アルドステロン症,本態性高血圧症,治療抵抗性高血圧症およびコントロール不良高血圧症などが挙げられる。特に,2~3剤以上の降圧薬を継続投与しても目標血圧まで下がらない治療抵抗性高血圧症に対するMR拮抗薬の有効性が注目されている。われわれは,アンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme;ACE)阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(angiotensin receptor blockers;ARB)などに加え,β遮断薬,カルシウム拮抗薬(calcium channel blockers;CCB),利尿薬などの降圧薬を投与しても血圧のコントロールが不良な患者に対して,エプレレノンが有意に血圧を低下させることを報告している5)。さらに,これらの患者において高カリウム血症などの副作用は認められなかった。同様の治療抵抗性高血圧症患者に対するスピロノラクトンおよびエプレレノンの有効性および安全性が他の臨床研究からも報告されており,MR拮抗薬がこれらの高血圧に対するブレイクスルーとなる可能性が期待されている6)7)。このように,治療抵抗性高血圧症患者に対するMR拮抗薬の成績が集積されているが,逆に考えれば治療抵抗性になる以前に,より早期から使用していく必要性もあるかもしれない。降圧治療におけるMR拮抗薬の位置付けは重要な課題の1つであり,今後の臨床試験の展開が必要であろう。
2 アルドステロン/MR系と臓器障害
アルドステロンは,血圧調節作用とは独立して心血管系組織に直接作用し,臓器障害や動脈硬化などを引き起こすことが報告されている。
1.MR拮抗薬による血管保護効果
アルドステロン/MR系は,血管内皮細胞および血管平滑筋細胞において,血管拡張機能低下,血管リモデリング,動脈硬化などの血管障害を引き起こし,これらの障害に対してMR拮抗薬が有効であることが証明されている8)。MR拮抗薬の血管保護効果は血圧非依存的にみられることから,内皮細胞および平滑筋細胞のMRを介した直接的な障害作用が考えられている。アルドステロン/MR系による血管障害メカニズムには,さまざまな因子の関与が挙げられる。アルドステロンの血管に対する直接的な作用としては,NADPHオキシダーゼを介した酸化ストレスの増大,細胞間接着因子(intercellular adhesion molecule;ICAM)-1,単球走化性因子(monocyte chemoattractant protein;MCP)-1,インターロイキン(interleukin;IL)-6,オステオポンチン,シクロオキシゲナーゼなどの炎症性因子の発現増大を介する炎症惹起作用8),MAPキナーゼを介した細胞増殖作用9),Rhoキナーゼを介したストレスファイバーの形成や細胞の遊走などが挙げられる10)。このような作用に加えて,内皮細胞や平滑筋細胞に浸潤する炎症細胞のMRにアルドステロンが直接作用し,酸化ストレスの増大などを介して血管障害を引き起こす可能性も報告されている11)-13)。さらに,MR拮抗薬によるインスリン抵抗性やメタボリックシンドロームなどの病態改善作用が血管保護効果に関与すると考えられている2)14)。最近,アルドステロンが組織のACE発現を亢進させることやアンジオテンシンⅡ(angiotensin Ⅱ;AⅡ)の作用を増強させることなども報告されており,組織レニン-アンジオテンシン系への悪循環も提唱されている2)。このように,アルドステロン/MR系による多彩な血管障害作用およびMR拮抗薬の血管保護効果が報告されているが,今後,臨床でのエビデンスの蓄積が必要である。
2.MR拮抗薬による心保護効果
アルドステロンは,血圧上昇作用に加えて直接的に心臓に作用して心筋細胞の肥大,線維化などをきたし,心不全の進行に密接に関与し,MR拮抗薬が心保護効果を示すことが報告されている15)。代表的な臨床試験としては,Randomized Aldactone Evaluation Study(RALES)16)やEplerenone Post-Acute Myocardial Infarction Heart Failure Efficacy and Survival Study (EPHESUS)17)などが挙げられ,すでに重症心不全や急性心筋梗塞後の心不全治療におけるMR拮抗薬の有用性が明らかにされている。アルドステロン/MR系による心障害のメカニズムとしては,血管同様,酸化ストレスの亢進,炎症惹起作用,凝固および線溶系への悪影響などが挙げられるが,最近では単球/マクロファージにおけるMR活性化と心リモデリングとの関連性が注目されている。
ミネラロコルチコイド依存性高血圧モデルでは,明らかな心臓の肥大や線維化が観察される前に心筋細胞にマクロファージの浸潤や炎症,酸化ストレスの亢進などの所見が認められることから,これらの因子はMRによる心リモデリングの開始因子である可能性が考えられる18)。さらに,マクロファージにはMRが発現していることに加えて,ヒトの単球やマウスのマクロファージにおいて,アルドステロンがこれらの細胞のMRを介して酸化ストレスを増大させることも報告されており,マクロファージのMR活性化はMR依存性心リモデリングの重要なメディエーターである可能性が考えられる11)12)。Rickardら19)は,単球/マクロファージ特異的MRノックアウトマウスを用いて,ミネラロコルチコイド依存性高血圧モデルであるデオキシコルチコステロン(DOC)/食塩高血圧モデルを作製し,マクロファージのMR活性化が心リモデリングに及ぼす影響について検討を行った。DOC/食塩投与8週間後,心筋細胞のマクロファージの浸潤数,心肥大,プラスミノーゲン活性化因子阻害物質(plasminogen activator inhibitor;PAI)-1や形質転換増殖因子(transforming growth factor;TGF)-βの発現量などは,ノックアウトマウスとワイルドタイプマウス間に差は認められなかった19)。ところが,DOC/食塩投与マウスに観察される心筋の線維化,コラーゲンの発現などの所見はマクロファージMRノックアウトマウスではほとんど認められず,正常マウスレベルまで抑制されていることが明らかとなった19)。興味深いことに,マクロファージMRノックアウトマウスではDOC/食塩投与による血圧上昇もみられなかった19)。これらの結果は,マクロファージのMRがMR依存性の高血圧や心筋の線維化の発症・進展過程における重要な因子であることを示唆している。特に,マクロファージMRノックアウトマウスの心筋においてマクロファージの浸潤が抑制されていなかったことから,浸潤したマクロファージが炎症や心筋線維化を引き起こす過程でMR活性化が重要な役割を果たしていることが考えられる。一方,Usherら13)も,骨髄のMRを特異的にノックアウトさせたマウスを用いてAⅡ/非選択的一酸化窒素合成阻害薬(L-NAME)投与モデルにおける骨髄性細胞のMR活性化と心血管障害の関連性について検討を行っている。AⅡ/L-NAME投与マウスにおいて,心臓の肥大および線維化,血管の線維化や肥厚などの所見が認められ,これらの障害は骨髄MRノックアウトマウスではすべて抑制されることが明らかとなった13)。さらに,骨髄性細胞のMR活性化は,単球あるいは非活性型マクロファージを炎症性の活性型マクロファージに分化させる重要な因子であることも証明されている13)。これらの結果は,骨髄性細胞のMR活性化が炎症性マクロファージへの分化やそれに伴う心血管障害の発症・進展に密接に関与していることを示している。興味深いことに,骨髄MRノックアウトマウスでは心臓や血管におけるマクロファージ浸潤数の減少がみられ,さらに血圧はワイルドタイプマウスとノックアウトマウス間に差がみられなかった。これらの結果は,上述したRickardら19)の結果とは異なるものである。なぜこのような差異がみられるのかは不明であるが,原因としては動物モデルの差異などが挙げられる。血圧に関しては,測定方法が異なることが原因かもしれない(テールカフ法およびテレメトリー法)。いずれのモデルにおいても,骨髄性細胞あるいはマクロファージのMR活性化は,心血管病変の発症・進展過程における重要な因子であることは明らかであり,MR拮抗薬の心・血管保護作用の一部に,これらの細胞のMR阻害が関与している可能性が考えられる。骨髄性細胞のMRの臓器障害作用のさらなるメカニズム解明に加えて,ヒトにおいても同様の機序が当てはまるかどうかなど臨床研究も必要であり,今後の研究展開が期待される。
3.MR拮抗薬による脳保護効果
脳においても,アルドステロン/MR系の存在が証明されている。特に,脳におけるMRの発現が広範囲であることから,アルドステロン/MR系が何らかの作用をしていると考えられている20)。これまでに,アルドステロン/MR系は上述したような中枢性血圧調節作用に加えて,脳梗塞や脳神経障害作用,さらには認知機能などにも関与することが報告されている。
脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットに対して血圧に影響を与えない用量のMR拮抗薬を投与すると,生存率の上昇や脳梗塞の出現率が有意に減少することが報告されている21)。マウスに脳梗塞モデルを作製し脳血管障害の程度を比較した検討では,MR拮抗薬の前処置により脳梗塞面積の減少,神経障害の軽減,梗塞後の血流改善などが認められている22)。最近,脳虚血モデルにおいて,骨髄性細胞のMR活性化が虚血後の梗塞面積の拡大や炎症に関与するという新しい知見も見出されている23)。本態性高血圧症の患者と比較して,原発性アルドステロン症患者においては脳血管障害や脳梗塞になるリスクが高いことが報告されていることからも,アルドステロン/MR系がこれらの病態発症・進展と密接に関わっている可能性が高い24)。しかしながら,脳梗塞1時間後にMR拮抗薬を投与することで神経細胞の障害が増加することも示されており,投与時期によっては脳障害の増大に働く可能性も示唆されている25)。
アルドステロンを慢性的に投与することで不安様行動が増加すること,MR拮抗薬が不安様行動を抑制することなどが報告されており,アルドステロン/MR系は血圧や脳血管障害だけでなく,行動にも影響を与える可能性が示唆されている26)27)。しかしながら,前脳においてMRを過剰発現させたマウスでは不安様行動が減少し,さらには脳虚血後の神経障害の減少や学習機能の上昇が認められることが報告されている28)29)。これらの結果より,脳へのアルドステロンの影響は非常に複雑であり,MRの発現部位や発現の程度などによって作用が異なるのではないかと考えられている。さらに,脳には11β水酸化ステロイド脱水素酵素-2(11β-HSD2)がほとんど存在していないため,コルチゾールによるMRへの影響を否定することができない。したがって,アルドステロン/MR系の行動面への影響についての研究は非常に困難であろう。アルドステロン/MR系と認知機能の低下の関係についてはまだ詳しい検討はなされていないが,疫学調査においてはMR拮抗薬がアルツハイマー病の発症抑制効果を有する可能性が報告されており,今後の臨床研究が期待されている30)。
上述したように,アルドステロン/MR系が脳梗塞や認知機能の低下などの病態に関与しておりMR拮抗薬の脳保護効果が期待されるが,投与時期による影響などいまだ未解明の部分が多く,基礎実験的に解明しなければならない検討項目が残されている。また,ヒトの脳をターゲットとする臨床研究がほとんど存在しないことからも,MR拮抗薬の脳保護効果については基礎・臨床ともに今後の研究が必要である。
4.MR拮抗薬による腎保護効果
アルドステロン/MR系の活性化は,重篤な蛋白尿を伴った糸球体の肥大,メサンギウム領域の拡大,糸球体上皮細胞(ポドサイト)の足突起障害,尿細管間質の線維化などの腎障害を引き起こし,これらの障害がMR拮抗薬の投与により抑制されることが報告されている31)。さらに,尿細管細胞だけでなく糸球体メサンギウム細胞,腎線維芽細胞,糸球体上皮細胞などの細胞においてもMRの発現が証明されていることからも,アルドステロンは尿細管以外のさまざまな腎部位に対して直接的な障害作用を有するものと思われる31)。実際に,病態モデル動物である脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット32),食塩感受性高血圧33),糖尿病モデル動物34)やメタボリックシンドロームラット4)などで観察される腎障害がスピロノラクトンやエプレレノンによって改善されることが報告されていることからも,アルドステロン/MR系が腎障害作用を有し,MR拮抗薬が腎保護効果を発揮することは間違いないものと思われる。アルドステロン/MR系による腎障害発症のメカニズムとしては図2に示すような経路が考えられるが,最近われわれはアルドステロンが近位尿細管細胞の老化を惹起し,腎障害の進展に関与することを見出している35)。
ラットにアルドステロンを慢性的に投与し腎臓における老化に関連する変化を検討したところ,近位尿細管細胞を主とした老化関連βガラクトシダーゼ(SA-βGal)活性の上昇,腎皮質組織におけるp21などの老化関連因子の発現上昇が認められ,これらの変化はMR拮抗薬の投与によって完全に抑制された35)。また,培養ヒト近位尿細管細胞においても,アルドステロンがSA-βGalの増大,p21およびp16の発現上昇を生じることも明らかにしている35)。アルドステロンがp21およびp16を誘導し細胞老化を引き起こすと考えられるが,これらの作用が腎障害にどこまで寄与しているかなどについてはさらなる検討が必要であり,今後の研究が待たれる。
臨床研究においても,腎障害の発症・進展に対するMR拮抗薬の有効性が証明されており,2型糖尿病患者や慢性腎不全患者に対してスピロノラクトンやエプレレノンの投与がアルブミン尿や蛋白尿を改善させることが明らかにされている5)31)。このように,アルドステロン/MR系の活性化はさまざまな病態における腎障害の発症・進展に直結することが考えられ,MR拮抗薬の降圧を超えた腎保護効果が期待される。しかしながら,現状ではMR拮抗薬は高カリウム血症に対する懸念から腎症に対する積極的な適応には至っていない。今後,非ステロイド系拮抗薬の開発も含め,MR拮抗薬の長期的な有効性,安全性に関するエビデンスの蓄積および詳細な腎保護効果メカニズムの解明が必要である。
3 アルドステロン非依存的なMR活性化機構
上述したように,アルドステロンによる臓器障害作用が注目されているが,食塩感受性高血圧モデルなど血中アルドステロン値が低値を示す病態においても,MRの阻害が臓器保護効果をもたらすこと,さらに臨床試験では血中アルドステロン値とは無関係にMR拮抗薬が降圧効果を示すことが明らかにされている5)。実際に最近の基礎研究から,MRはアルドステロンのみならずグルココルチコイド36)37),低分子量G蛋白質であるRac1 38),高グルコース39)などの因子によって活性化され,臓器障害を引き起こす可能性が除々に明らかになってきている。よって,血中アルドステロン値が低値の状態であってもMRが活性化されている可能性があり,血中アルドステロン濃度のみではMR拮抗薬の効果を推測することは困難である。MR活性化メカニズムのさらなる解明や臓器MR活性化の診断法の開発など,今後の研究の展開が期待される。
おわりに
アルドステロン/MR系の活性化がさまざまな病態下における臓器障害と密接に関与していることが明らかになってきており,MR拮抗薬の降圧を超えた臓器保護効果が期待されている。ほかにも,ジヒドロピリジン系CCBによるMR阻害作用の可能性40)41),またジヒドロピリジン骨格をもとにした非ステロイド骨格のMR拮抗薬の開発など42),アルドステロン/MR系に関する新しい知見が続々と見出されている。今後の詳細な検討によって,MRによって生じる臓器障害の病態生理ならびにMR拮抗薬の薬理作用が解明され,臓器保護薬としての新しい治療展開が期待される。
文 献
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香川大学医学部薬理学講座
北田 研人 Kento Kitada
香川大学医学部薬理学講座助教
中野 大介 Daisuke Nakano
香川大学医学部薬理学講座教授
西山 成 Akira Nishiyama