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腎生理の基礎知識
第13回 腎におけるエネルギー消費と産生(1)腎におけるエネルギー消費
掲載誌
Nephrology Frontier
Vol.9 No.2 51-56,
2010
著者名
関根孝司
記事体裁
連載
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全文記事
疾患領域
腎臓
診療科目
一般内科
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腎臓内科
/
老年科
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小児科
媒体
Nephrology Frontier
「はじめに」腎臓の重量は体重のわずか0.5%に過ぎないが, 生体が消費するエネルギーのおよそ7%を消費している1)2). このエネルギー消費率は心臓に次ぐ. 心臓は, 多量の血液を全身に送り出すというポンプ機能(物理的エネルギー)にエネルギーを消費している. 一方, 腎臓は1日約180Lという多量の血漿を濾過し, 濾過された溶質および水のほぼすべてを再吸収するという輸送機能(化学的エネルギー)に消費エネルギーの大半を費やしている. こうした輸送に必要な多量のエネルギー(ATP)を, 腎臓は主に有酸素呼吸である酸化的リン酸化によって得ている. 腎臓が脳と同様に虚血に極めて弱いのは, 常時多量のエネルギーを必要としているからである. 本稿では数回にわたり, 「腎における溶質輸送とエネルギー消費と産生, およびその連関」について記す. 具体的な内容は, (1)腎での溶質輸送に要するエネルギー (2)腎でのエネルギー産生 (3)ネフロン分節ごとのエネルギー基質の相違 (4)エネルギー消費と産生との連関と調節 (5)エネルギー不足(虚血, ミトコンドリア異常など)による病態などである1).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。