世界で新生児の聴覚スクリーニングが行われるようになって20年以上が経過し、先天性難聴の発生頻度がおおよそ出生1,000人に1人であることや、少なくとも半数以上に遺伝子が関係していることなどが明らかとなってきた1)。われわれの最新の調査研究では、2009~2019年に長野県で出生し新生児聴覚スクリーニング検査を受けた153,913人のうち、両側性難聴児は130例(0.84%)、一側性難聴児は119例(0.77%)であった2)。よって先天性難聴児は合わせると1,000人あたり1.62人であり、過去の報告と類似していた。

また、早期発見によって乳児期から補聴器装用が開始され、重度難聴児は1歳前に両側人工内耳手術が行われるようになるなど、異なる難聴の程度・原因をもつ児に対してそれぞれ適切な個別化医療が提供され、良好な聴取能のもとで療育を行うことが可能となっている。現時点での先天性難聴児の診断フロー(図1)に基づいて、それぞれの検査や診断方法について解説する。