副鼻腔嚢胞とは、副鼻腔の自然口の狭窄や閉塞によって副鼻腔内に分泌液が充満し、副鼻腔が拡大して骨壁の圧排や破壊のあるものをいう1)。自然口の排泄障害は炎症、外傷、鼻副鼻腔手術後、解剖異常、腫瘍などによって生じる。最も発生頻度が高いのは術後性の上顎嚢胞であり、前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞は比較的少ない2)3)

術後性上顎嚢胞は、副鼻腔炎の手術時に上顎洞や篩骨洞などの粘膜を除去しきれずに一部が残り、手術の傷に肉芽が取り込まれて閉鎖された空間をつくることにより発生すると考えられている4)。先行する手術はLuc(Caldwell-Luc)手術が最も多く、まれにLe Fort骨切り術後などもある。術後から平均22年(最短半年、最長60年)で発症する5)。約30%で自然消退する一方、8~20%の症例で増大することがある。初期のサイズが2cm以上であること、両側性であることが嚢胞増大の予測因子となる6)