高齢者に多い鼻の病態の一つはドライノーズである。奥田1)は、ドライノーズの特徴として、「鼻内乾燥感、鼻中の乾燥のほかに、鼻内が重苦しい、鼻をかみたい、鼻内に何かがたまった感じがするなどの症状も出現する」「dry noseへの注意は医師も患者も不十分と思われる。あえてdry noseへの関心を喚起したい」と述べている。この提言は2002年になされているが、奥田が指摘したときと同じく「いまだ注意が医師も患者も不十分」な状態である。いまだドライノーズの診断基準はなく、一つの疾患概念となっていない。
本稿では、乾燥感だけではなく多彩な症状を示し、多くの鼻疾患の上流に位置する可能性が示唆される本症の病態に対する理解の現況について、筆者の視点から概説する。

