Cutting Edge
病原性Th2細胞
掲載誌
鼻アレルギーフロンティア
Vol.20 No.1 14-15,
2020
著者名
折茂圭介
/
松本健治
記事体裁
抄録
疾患領域
アレルギー・免疫
/
耳鼻科疾患
診療科目
アレルギー科
/
耳鼻咽喉科
媒体
鼻アレルギーフロンティア
アレルギー疾患の病態形成には,多くの免疫細胞,組織構成細胞が関与していることは広く知られているが,近年の科学技術の進歩により,これまで単一の細胞集団と思われていた細胞でも,さまざまなフェノタイプが含まれていることが明らかになってきている.アレルギー疾患の病態形成に,主にインターロイキン4(interleukin-4: IL-4)やIL-5,IL-13などの2型サイトカインの産生を通じて関わるTh2細胞についても同様である.産生する2型サイトカインの種類,量に差があるほか,好中球性炎症を惹起するサイトカインであるIL-17を産生する細胞集団も存在することなどがこれまでに報告されている.そのTh2細胞において,2型サイトカインの産生量が多いTh2細胞が,病原性Th2細胞として近年注目されている.アレルギー疾患の実臨床において,2型サイトカインやその経路の一部をブロックする抗体製剤の使用が可能になってきている今,2型サイトカインの主要な産生源と考えられる病原性Th2細胞に対しての研究が進むことは,アレルギー疾患のさらなる病態解明・新規治療開発につながる可能性がある.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。