特集 統合失調症の認知機能障害への治療的アプローチ―薬物療法と認知リハビリテーションの最新知見
統合失調症の社会的転帰の改善を踏まえた認知機能障害への治療的アプローチ―社会認知と動機づけ―
掲載誌
Schizophrenia Frontier
Vol.13 No.1 34-41,
2012
著者名
中込 和幸
記事体裁
抄録
疾患領域
精神疾患
診療科目
リハビリテーション科
/
精神科
媒体
Schizophrenia Frontier
「要約」認知機能障害は, 統合失調症のリカバリー概念の重要な要素である社会的転帰と関連することが知られるようになり, 認知機能障害をターゲットとする薬物や心理社会的治療の開発が盛んに行われている. 薬物療法については, 米国でのMATRICSプロジェクトでさまざまな分子ターゲットおよび候補物質が抽出されているが, いまだ安定した効果を表したものは見当たらない. 一方, 心理社会的治療については, 認知リハビリテーションが脳の神経可塑性を介して, 認知機能ばかりでなく社会機能的転帰の向上にもつながる可能性が示唆されている. その効果を増強する因子として, 社会認知や内発的動機づけを高めるための報酬系神経の活性化をもたらすアプローチの重要性を指摘した. 「はじめに」統合失調症の社会機能と認知機能との関連性については, すでに数多くの研究報告で支持されている. 統合失調症の治療目標が主観的な満足感を伴った地域社会参加と考えると, 認知機能障害に対する治療アプローチの開発, 向上に期待が膨らむのは自然な流れといえる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。