特集 統合失調症の認知機能障害への治療的アプローチ―薬物療法と認知リハビリテーションの最新知見
セロトニン受容体と認知機能障害の治療;5-HT₁Aアゴニストの役割
掲載誌
Schizophrenia Frontier
Vol.13 No.1 11-18,
2012
著者名
住吉 太幹
記事体裁
抄録
疾患領域
精神疾患
診療科目
精神科
媒体
Schizophrenia Frontier
「要約」統合失調症の認知機能障害は患者の転帰に強く影響するとされ, より有効な治療法の探索が精力的に行われている. 認知機能増強作用に関連するセロトニン(5-HT)受容体サブタイプには, 5-HT1A, 5-HT2A, 5-HT3, 5-HT6, 5-HT7受容体などがある. 特に, 5-HT1Aアゴニストの有効性を示す基礎および臨床研究の知見が注目される. そのメカニズムとして, 前頭前皮質におけるドーパミン, グルタミン酸, GABA, 5-HT神経からなるネットワークの関与を考察した. また, 5-HT1Aアゴニスト投与で亢進する脳局所のエネルギー代謝も, 認知機能改善薬探索の新たな手法として期待される. 今後は, 神経心理学的検査成績と機能的予後評価を包括した認知機能治療法の開発が求められよう. 「はじめに」統合失調症では各種の記憶, 遂行(実行)機能(計画性, 思考の柔軟さなど), 注意/情報処理, 語流暢性, 運動機能などを測定する神経心理学的検査(図1)の成績が, 正常よりも1~3標準偏差ほど低下する1)2).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。