要約
近年の精神医療の進展で,開放化やコミュニティ・ケアなどの社会復帰活動が促進され,慢性の統合失調症者が社会で生活することも多くなったことから,統合失調症であれば責任無能力として刑が免ぜられるとは限らず,障害者に対して相応の権利と責任が求められるようになった。さらに,近年の操作的診断では「精神の障害」の概念が曖昧となったことから,責任能力の判断において生物学的要素としての「疾病性」が軽視され,心理学的要素としての「弁識能力」や「制御能力」などの比重を重視しようとする傾向が窺われる。しかしながら,われわれ精神科医は,精神鑑定における精神医学的診断の重要性を認識し,この「疾病性」こそが,責任能力判断の原点であることを銘記しておかねばならない。
全文記事
統合失調症の責任能力と医療観察法
統合失調症患者の責任能力
Criminal responsibility of schizophrenic patients
掲載誌
Schizophrenia Frontier
Vol.12 No.3 13-16,
2011
著者名
林拓二
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
精神疾患
/
その他
診療科目
精神科
/
その他
媒体
Schizophrenia Frontier
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。