要約  千葉県市川市は,包括型地域生活支援プログラム(ACT)の臨床研究事業や,千葉県の単独事業であるマディソンモデル活用事業の実施により,地域精神保健医療福祉システムを発展させていく機会を得た。これらの事業に共通しているのは,誰でも住み慣れた地域で生活をするという当たり前の権利を大切Aにし,リカバリーは可能であるという信念をもっていることである。ACTが開発された米国ウィスコンシン州デーン郡マディソン市は,精神障害をもつ人たちを地域で支える先進的なモデルである,マディソンモデルの中心であり,ACTという単独のプログラムを含むケアシステム作りを前述の信念に基づいて行っている。  本稿では千葉県市川市の地域精神保健医療福祉システムに関して,米国のACTとマディソンモデルを手本としたACT-Jの研究事業と千葉県の単独事業の導入により発展した歩みについて解説した。