全文記事
【統合失調症の思考と言語】
言語新作
掲載誌
Schizophrenia Frontier
Vol.11 No.3 23-28,
2010
著者名
古茶大樹
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鹿島晴雄
記事体裁
特集
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症例
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全文記事
疾患領域
精神疾患
診療科目
精神科
媒体
Schizophrenia Frontier
「要約」統合失調症に比較的特異的で, 昔からよく知られている症状の1つに言語新作がある. 有名かつ印象的である割には遭遇することは意外に少ない. ここに典型例を呈示した. Kraepelinは, 症状の観察と記述に徹しているが夢との類似, 思路と言語発表との関係の中断を推測した. E.Bleulerは, 言語新作にみられる患者の主体的な関わりを指摘している. Arietiは, 言語新作の詳細な観察を通じて, 言語の内包力低下・外延と言葉表現の強調, 連合障害(進行性の同一視傾向)から説明を試みている. 新宮は, 人間の主体性と言語の自律性という側面から言語新作をとらえているのが興味深い. 「(1)症例呈示」最初に言語新作の一例を呈示しよう. 患者は60歳過ぎの男性慢性統合失調症患者で, 過去に20年間の長期入院歴がある. 大学を卒業, 一流会社の社員として相当な実績を上げていたが, 20代後半で発病してからは就労していない. 性同一性についての妄想的確信があり, 自分は女性だという.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。