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【統合失調症と生活習慣】
統合失調症のストレス脆弱性―HPA系を中心として
掲載誌
Schizophrenia Frontier
Vol.11 No.1 34-41,
2010
著者名
尾鷲登志美
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
精神疾患
/
神経疾患
診療科目
精神科
媒体
Schizophrenia Frontier
「要約」統合失調症のストレス脆弱性モデルには, 遺伝因子と環境因子が複雑に関与している. 本稿では, ストレス反応と密接な関連を有する視床下部-下垂体-副腎(hypothalamo-pituitary-adrenal;HPA)系機能が, 統合失調症において障害されているのかどうか, 機能的, 画像的, 遺伝子的分野より先行研究を概観した. 「はじめに」ストレスが統合失調症の発症および再発に影響するのではないかと広く議論されるようになったのは, ZubinとSpringが「脆弱性―ストレスモデル」を1977年に提唱して以降のことである1). つまり, 統合失調症が誰にでも等しく起こりうる事態ではなく, 個体により脆弱性の違いがあり, その個人差ごとに十分な強度のストレスが加わって発病するという仮説である. 閾値は個人によって異なるため, 発病に十分なストレス強度も個体によって異なる. 統合失調症は挿話性に経過することも多いが, 回復後も再発への脆弱性は長く残り続け, ストレスを機に再発することは臨床的特徴の1つでもある.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。