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【高齢化する統合失調症】
統合失調症の認知機能障害―うつ病との比較における相違点と共通点
掲載誌
Schizophrenia Frontier
Vol.10 No.1 12-16,
2009
著者名
根本 隆洋
/
水野雅文
記事体裁
特集
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全文記事
疾患領域
精神疾患
診療科目
老年科
/
精神科
媒体
Schizophrenia Frontier
「要約」加齢は認知, 感情, 社会適応など人間のもつほとんどの機能に影響を及ぼす. 精神疾患患者はその長期経過のなかで加齢による影響を受けるとともに, 疾患自体もこれらの機能に多大な影響を及ぼす. 統合失調症とうつ病において, 認知機能障害は重要テーマであるにもかかわらず, 認知機能に対する加齢の影響に関する研究は近年ようやく増えつつある状況にある. これらの知見は発症年代による病因の相違と, 長期経過における修飾因子の特徴を明らかにしうる. 老年期のうつ病および統合失調症患者にみられる認知機能の変化は, より重度ながら典型的な通常加齢に伴う変化に類似している. しかし, 重症度, 年齢補正, 長期研究の所見などを考慮すると, その変化は単なる加齢による影響とは明らかに異なると考えられる. 両疾患における認知機能障害と通常加齢変化の類似点から, 精神病理過程と加齢には共通の神経生物学的回路における脆弱性が存在すると示唆されている.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。