生体のもつ自然治癒力を介して失われた生体組織を再生修復する再生医療は,生物機能の高い幹細胞ならびに分化細胞を作製する幹細胞生物学あるいは自然治癒力の基となる細胞の生存,増殖および分化能力を高めるアプローチである組織工学により大きく進歩した。これまでに様々な生体組織の再生が動物モデルにより証明されるとともに,いくつかの臨床研究も進められている。再生医療をより戦略的に実現していくためには治療法だけではなく,治療効果を非侵襲的に評価するイメージング技術の開発が必要である。組織工学を用いた組織再生誘導においては,誘導に用いる幹細胞と足場が体内でどのような挙動を示すかが興味の対象となる。これまでに幹細胞の動態あるいは足場の分解挙動の可視化を目指した試みはいくつか存在するが,幹細胞の動態と足場の分解挙動を同時に可視化しそれらの関連を調べた研究は報告されていない。