用語解説
Hippo-YAP/TAZシグナル伝達経路
掲載誌
再生医療
Vol.14 No.4 91-93,
2015
著者名
仁科博史
記事体裁
抄録
疾患領域
再生医療
診療科目
その他
媒体
再生医療
1990年代,p53やRbに次ぐ新たながん抑制関連遺伝子を探索するため,ショウジョウバエを用いた遺伝学的スクリーニングが行われた1)。その結果,Hippoを含む複数のがん抑制遺伝子が単離され,2003年にがん抑制シグナルとしてHippoシグナル伝達経路が同定された(図1)。Hippo経路は,セリン/スレオニンキナーゼであるHippoとWarts,アダプター分子であるSalvadorとMatsの4種類の蛋白質から構成され,転写共役因子Yorkieを標的分子としてリン酸化する。リン酸化されたYorkieは14-3-3と結合して細胞質に局在化する。一方,非リン酸化型のYorkieは核へ移行し,転写因子Scallopedと結合し,細胞周期制御因子Cyclin Eや細胞死制御因子DIAP1,microRNAであるbantamなどの発現を誘導し,細胞増殖と細胞死を制御する。すなわち,“Hippo経路は,Yorkieの細胞質-核間の局在制御を介して,細胞数を制御することで,組織や器官のサイズを調節する。”
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。