Review(再生医療)
疾患特異的iPS細胞
掲載誌
再生医療
Vol.12 No.1 19-32,
2013
著者名
齋藤潤
/
中畑龍俊
記事体裁
抄録
疾患領域
循環器
/
血液
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神経疾患
/
小児疾患
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再生医療
診療科目
循環器内科
/
心臓血管外科
/
脳神経外科
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神経内科
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血液内科
/
小児科
媒体
再生医療
「はじめに」人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells:iPS細胞)とは, 京都大学の山中らによって樹立された幹細胞の一種である. その特徴は, (1)すべての細胞・組織に分化できる多能性(pluripotency)を有する, (2)体細胞より誘導できる, という点にある. 2006年にマウスiPS細胞1), 2007年にヒトiPS細胞2)が樹立された. ヒトの初期胚から作られるES細胞(embryonic stem cells)は, 個体のすべての組織へ分化することができるとされているが, iPS細胞も同等の万能性をもつ. しかし, 大きく異なるのは, ES細胞はヒトの受精卵を滅失して作成する必要があるのに対し, iPS細胞は線維芽細胞や血球など, ある個体の体細胞から人工的に樹立することができる点である. これらの万能性細胞から心筋や神経, 内分泌細胞などを分化・作出し, 再生医療のソースとすることが考えられているが, iPS細胞はES細胞に比べて, (1)ヒトの受精卵を使用しないため倫理的な問題が少ない, (2)自家移植であれば免疫拒絶のリスクが少ない, というメリットがある.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。