新刊
治療
2009年A(H1N1)pdm09パンデミックと日本の対策“Test and Treat”
掲載誌
インフルエンザ
Vol.26 No.3 17-22,
2025
著者名
菅谷 憲夫
記事体裁
抄録
疾患領域
感染症
/
呼吸器
診療科目
一般内科
/
小児科
媒体
インフルエンザ
Key Words
インフルエンザ
/
パンデミック
/
A(H1N1)pdm09
/
test and treat
20世紀のインフルエンザパンデミックは,1918年のスペインかぜA(H1N1),1957年のアジアかぜA(H2N2),1968 年の香港かぜA(H3N2)と3回発生した.1977年に出現し,2008年まで流行したソ連かぜA(H1N1)は,1950年代に流行したA(H1N1)ウイルスが,ソ連のウイルス研究所から漏れて再流行したもので,新型インフルエンザではない.最近,COVID-19が武漢のウイルス研究所から漏れてパンデミックになったではないかと話題となったが,ソ連かぜはその代表例である.
一方,2009年の豚由来インフルエンザ,swine-origin influenza A(H1N1) virus(S-OIV)は,21世紀初のインフルエンザパンデミックで,抗インフルエンザ薬が使用可能となった最初のパンデミックでもあった.2009年のパンデミック時,日本ではノイラミニダーゼ阻害薬(neuraminidase inhibitor:NAI)が広範に使用され,死亡が世界で最も少なく国際的に高く評価されたが,日本国内では,2009年パンデミックは単に軽いパンデミックであったと,誤解されている面もある.本稿では,2009年パンデミックを振り返り,日本のインフルエンザ対策が成功した要因を考察する.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。