新刊
巻頭言
大人も罹るRSウイルス感染症
掲載誌
インフルエンザ
Vol.26 No.3 5-6,
2025
著者名
武内 可尚
記事体裁
抄録
疾患領域
感染症
/
小児疾患
診療科目
一般内科
/
小児科
媒体
インフルエンザ
RSウイルス(RSV)は1956年チンパンジーの鼻かぜのウイルスとして発見された.翌年同じウイルスをボルチモアの肺炎の小児からChanockらが分離し,respiratory syncytial virusと命名した.HEp2細胞培養でsyncytiumを形成することからの命名だと思われる.RSVは,新生児だと無熱のことさえあり,月齢が6か月未満の小児では特に重い細気管支炎に陥る傾向がある.胸部X 線撮影では,横隔膜の扁平化と,肋間腔の開大,下肺野の透過性の拡大などair trapの所見が特徴である.RSVの診断は,初めのうちには,ペア血清でCF抗体を測定し,途中からは迅速診断キットの活用や,HEp2細胞での分離培養や,蛍光抗体法により鼻咽頭分泌物を染色して診断していた.筆者が行っていた頃は,日本中,北から南までRSVは12月・1月の冬期に流行する傾向があり,インフルエンザの流行が大きいとRSVは減少するという干渉現象らしき動きも認められた.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。