現在,世界中で多くの命を奪い,深刻な問題となっている真菌に「Candida auris(以下カンジダ・アウリス)」がある.カンジダ・アウリスは,2009年に日本から初めて報告された菌種だが,当初の国内株は低病原性で抗真菌薬もよく効いた.しかし,その後は遺伝子型が異なる海外株による重篤な感染例が複数の国から多数報告され,抗真菌薬への多剤耐性や院内の集団感染(アウトブレイク)などが問題となってきた.そこで,世界保健機関(WHO)はカンジダ・アウリスを優先的な対処が必要な真菌として位置づけ,注意を呼び掛けている.今回は,本領域の最前線で活躍する国立感染症研究所の阿部雅広先生に,カンジダ・アウリスの現状や課題などについて話を伺った.(聞き手:編集部)