河岡(司会) 現在,米国の乳牛のあいだで,高病原性鳥インフルエンザが流行しています.予想外の事態ですが,まずはどのような経緯で同定に至ったのか,お聞かせください.
内田 昨年の3月上旬ごろ,テキサス州で,乳牛の出す乳の量が減ったり,色が悪かったり,濃縮されたように濃くなっていたりしていることに,臨床の獣医師が気づいたのが最初でした.自然な環境で乳牛がA型インフルエンザに感染するとは考えられていなかったのですが,酪農場の周り米国で流行している乳牛の高病原性鳥インフルエンザで野鳥やネコが死亡しており,インフルエンザの可能性を疑って調べたところ,まず野鳥でH5N1の陽性が確認され,その2日後にネコと乳牛からも検出されました.感染しても乳牛は死亡しないので,細菌による乳房炎と区別が難しく,インフルエンザだとわかるまで少し時間がかかったようです.