巻頭言
ポストパンデミック時代の呼吸器感染症対策―“100日ミッション”を現実にするために
掲載誌
インフルエンザ
Vol.26 No.2 5-6,
2025
著者名
渡辺 登喜子
記事体裁
抄録
疾患領域
呼吸器
/
感染症
診療科目
一般内科
/
呼吸器内科
媒体
インフルエンザ
2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックは,世界中の公衆衛生と社会・経済活動に甚大な影響を及ぼした.われわれ人類は,突如出現した未知のウイルスに翻弄され,感染症は一国の問題ではなく,地球規模で対応すべき課題であることを強く認識させられた.
パンデミック初期,欧米諸国では,mRNAをはじめとする新しいモダリティのワクチン開発が驚異的なスピードで進み,2020年末にはワクチン接種が開始された.このことは,感染拡大の抑制に大きく貢献した.一方,日本における国産ワクチンの開発と承認は,世界に対して大きく遅れをとった.その要因は,単なる技術力の差ではなく,研究開発から製造,臨床試験,法制度に至るまで,各段階を支える“総合的な備え”が不足していたことにあるといえるだろう.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。