柏木(司会) 本日の座談会は,なぜわが国において2020~2021年および2022年にインフルエンザの流行がなかったのか,その前後の動向も踏まえて,国立国際医療研究センター国際ウイルス感染症研究センター長の河岡義裕先生と,国立感染症研究所インフルエンザ・呼吸器系ウイルス研究センター第一室室長の渡邉真治先生にお聞きしたいと思います.
早速ですが,インフルエンザウイルスが国内に入ってくるルートとして,例えば東京では主にどこの国から持ち込まれるか,わかっているのでしょうか.
渡邉 2023年から,全国の5空港で入国時感染症ゲノムサーベイランスというものが導入されており,症状があって,同意を得られた入国者に,検査を行っています.そのデータをみると,協力いただけた方は,欧米より中国やインドなどアジア圏が多い傾向はあります.ですが,世界中のさまざまな国から来られていますので,ウイルスがどの国から東京に入ってくるのかは,全くわからないといってよいと思います.