最近,国内外で高病原性鳥インフルエンザが多く発生しており,問題となっています.高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染したニワトリが死亡したり,感染拡大防止のために殺処分されることで,卵の価格が高騰するなど,私たちの生活にも大きな影響を及ぼしています.鳥インフルエンザウイルスは,ニワトリに対する病原性の違いによって,低病原性鳥インフルエンザウイルス(LPAIV)と高病原性鳥インフルエンザウイルス(HPAIV)に区別されています.1997年,香港において,初めてのH5N1 HPAIVのヒトへの感染事例が報告されました.その後も散発的にヒトへの感染が起こっており,2003年1月1日から2024年3月28日までに888例の感染と463人の死亡が確認されています1).これらの感染を引き起こしたH5N1 HPAIVは,A/Goose/Guangdong/1/1996(H5N1)に由来するユーラシア系統のHA遺伝子を有しています.また,HA遺伝子の塩基配列に基づいて,複数のクレード(系統群,分岐群)に分類されており,現在はクレード2.3.4.4bに属するH5N1 HPAIVが世界的な感染拡大を起こしています.今回のよもやま話では,最近のH5N1 HPAIVの動向について,これまでの経過を含めて概説します.
ウイルスよもやま話
最近のH5N1高病原性鳥インフルエンザについて
掲載誌
インフルエンザ
Vol.25 No.2 53-57,
2024
著者名
七戸 新太郎
/
渡辺 登喜子
記事体裁
抄録
/
連載
疾患領域
呼吸器
/
感染症
診療科目
一般内科
/
呼吸器内科
媒体
インフルエンザ
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。