河岡(司会) 本日は,biosafety level-4(BSL-4)施設について議論したいと思います.はじめに,世界におけるBSL-4施設の現状について教えていただきたいのですが,いまどれくらいの施設があるのでしょうか.
安田 日本の省庁でよく引用されるのは「長崎大学調べ」のデータで,24の国・地域に59か所以上の施設があります(図1).
河岡 BSL-4施設で行われる研究には,どのような特徴がありますか.
海老原 BSL-4は,アカデミアや保健,ヒューマンヘルスにかかわるような,日本では厚生労働省が管轄する施設と,ブタやヒツジなどの大動物の感染実験も行える農林水産省のような部署が管轄する施設,そして軍関連施設の3つに大別されると思います.
特徴的なのは農水関連の施設で,例えばドイツのFriedrich Loeffler Institute(FLI)などは,施設のなかに畜舎があって,そのなかで陽圧防護服(以下,スーツ)を着たスタッフが作業していたりします.ヒューマンヘルス関連でいえば,米国のIntegrated Research Facility at Fort Detrick(IRF-Frederick)のようなイメージングに特化した施設もありますし,サルの実験だけに特化した施設や,おおよその研究に対応できる汎用性をもつ施設もあります.また,意外と多いのが,軍関連の施設です.