柏木(司会) COVID-19の流行が始まって以来,流行状況に合わせて医療体制も変化してきました.2023年5月からは,新型インフルエンザ等感染症として2類感染症に準じるとされてきた「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)上の分類が,季節性のインフルエンザと同じ5類感染症に変更されています.宮入先生,この分類の変更は,どのような考えに基づいてなされたものだったのでしょうか.
宮入 感染症法で2類感染症に分類されている疾患は,致死率や重症度がきわめて高い疾患であり,何とか封じ込めようという概念の下に定義づけられています.国が主体性をもって封じ込めるというコンセプトが背景にある分類であり,陽性例は一例一例サーベイランスに登録され,積極的な疫学調査を行って,他の接触者がいないかどうかを遡って調べたり,入院勧告が出されたりします.国主導ですから,全面的な補助があり,病床確保も国の補助で空床が補填されます.診断や治療も,国が一定の強制力をもつ代わりに,費用は公費負担になります.