ヒトの体温は一般的に36~37℃であるが,体の部位によって温度が異なる.ヒトの呼吸器においては,外気温に影響されやすい鼻腔は29~32℃と比較的低く,気管や気管支は32~35℃,肺では37℃となる1)2).ヒトの上気道で増殖する季節性インフルエンザウイルスやヒトかぜコロナウイルスなどは,ヒト上気道の温度と一致して,32~33℃で最も効率よく増殖することが知られている.一方で,鳥やコウモリの体温は40~42℃であり,鳥やコウモリからヒトの世界に侵入する新興ウイルスの増殖に適した温度は,ヒトの平均体温より高い温度であることが知られている3)4).したがって,温度はウイルスの増殖能や病原性,新たな宿主への適応などに影響を与える重要な因子の1つである.
速報
新型コロナウイルス・オミクロン株の高温における増殖能
掲載誌
インフルエンザ
Vol.24 No.3 39-40,
2023
著者名
村本 裕紀子
/
野田 岳志
記事体裁
抄録
疾患領域
呼吸器
/
感染症
診療科目
一般内科
/
呼吸器内科
媒体
インフルエンザ
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。