疫学
COVID-19の流行ピークに関する理論疫学的な見解
掲載誌
インフルエンザ
Vol.23 No.4 19-26,
2022
著者名
岡田 雄大
/
西浦 博
記事体裁
抄録
疾患領域
感染症
/
呼吸器
診療科目
一般内科
/
呼吸器内科
媒体
インフルエンザ
Key Words
実効再生産数,滞留人口,異質性,集団免疫,一時的集合体免疫
COVID-19の流行では,1人の感染者が生み出す2次感染者数の平均値を意味する実効再生産数が常時モニタリングされてきた.流行のピークとは,実効再生産数がちょうど1の値を取る箇所に相当する.そのため,実効再生産数の構成成分を理論的に理解することやそれを予測することは流行ピークの捕捉に役立つ.本稿では,まず実効再生産数と滞留人口との関係について解説する.滞留人口はリスク地域における感受性人口の推移を反映し,実効再生産数と比例関係をもつことが期待され,それに対応したエビデンスが蓄積しつつある.また,COVID-19の流行を通じて一時的集合体免疫という概念が生まれた.従来の集団免疫とは異なり,実効感受性割合がベキ則に従うと仮定すると流行ピークが捕捉しやすいことが知られる.それはCOVID-19の伝播における異質性がきわめて高く,人口全体で均質なリスクを伴うわけではないことを反映している.一時的集合体免疫は特定の流行波のピークを集団免疫よりも早くに導くが,感受性人口は集団内に残されたままで流行が下火になって進む.そのため,緩和などの際に人口内に残った感受性者の間で伝播が遷延することにつながり,被害規模を大きくしてしまうことに留意する必要がある.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。