「はじめに」超音波内視鏡下穿刺吸引法(endoscopic ultrasoundguided fine needle aspiration:EUS-FNA)の臨床応用としては膵腫瘍に対して1992年に報告されたのが最初である。それ以降はリンパ節病変,消化管粘膜下腫瘍のほか,穿刺対象が多数の臓器に拡がっていった。また,2010年よりEUS-FNAに対する保険収載がなされ,本邦でも本手技の普及が急速に進んでおり,EUS-FNAは良悪性の鑑別,病変の鑑別診断,化学療法前のエビデンス目的などに必須のツールとなった。本稿では胆膵疾患に対するEUS-FNAの最近の動向につき紹介する。
「膵疾患に対するEUS-FNA 1.膵充実性疾患に対するEUS-FNA」膵充実性病変に対するEUS-FNAの有用性はすでに確立されている。診断能に関する論文も多数報告され,レビュー1)による感度・特異度・正診率は,それぞれ78-95%,75-100%,78-95%と報告されている。超音波診断装置の画質や機能の進化,穿刺針の改良,穿刺技術の向上,検体処理の工夫など種々の開発・改良に伴い,その診断能も時代とともに向上してきている。