「Summary」外科手術の質向上に寄与しうる臨床データベースであるわが国のNational Clinical Database(NCD)は,米国のAmerican College of Surgeons National Surgical Quality Improvement Program (ACS-NSQIP)と連携し設立され発展してきている。現在,日本と米国の外科治療の国際比較を行うことによって,両国のさらなる医療の質の向上に資する視点を明らかにしようとする試みがなされている。この国際比較研究により,日本と米国の手術適応患者の背景の相違や医療提供環境の相違が明らかになりつつあり,今後この国際比較研究によって,国際的に共通に通用するリスクモデルの構築が可能かどうかの検討がなされるなど,質の高い大規模データベースの応用が進められていくことが期待される。