バイオマーカーをめぐるQ&A
Question 薬剤トランスポーター定量は抗癌剤感受性バイオマーカーとして有用か?
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.22 No.2 87-90,
2015
著者名
川口桂
/
海野 倫明
記事体裁
抄録
疾患領域
癌
診療科目
一般外科
/
呼吸器内科
/
脳神経外科
/
産婦人科
/
消化器内科
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血液内科
/
腫瘍内科
/
消化器外科
媒体
Surgery Frontier
「Answer」生体内に投与された多くの薬剤は,標的組織の細胞膜に発現する薬剤トランスポーターにより細胞内へと取り込まれ薬効を発揮する。抗癌剤を基質とする取り込みトランスポーターが高発現していれば,抗癌剤の細胞内濃度は上昇し感受性は増すと考えられ,一方,排泄トランスポーターの発現が上昇すれば抗癌剤の細胞内濃度は低下し感受性は低下すると考えられる。ヒトに存在する薬剤トランスポーターは,ATP binding cassette(ABC)トランスポーターとSolute Carrier(SLC)トランスポーターに大別される。ABCトランスポーターはアデノシン三リン酸(Adenosine triphosphate;ATP)の加水分解によって得られたエネルギーを用い,薬剤を主に細胞内から細胞外へ排泄する1)。表1のようにさまざまな癌種においてABCトランスポーターと抗癌剤感受性との関連が報告されている2)-35)。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。