バイオマーカーをめぐるQ&A
Question 消化器癌における血清p53抗体検査の有用性
掲載誌
Surgery Frontier
Vol.20 No.4 106-108,
2013
著者名
島田英昭
/
谷島聡
/
船橋 公彦
記事体裁
抄録
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
一般外科
/
消化器内科
/
耳鼻咽喉科
/
腫瘍内科
/
放射線科
/
消化器外科
媒体
Surgery Frontier
[Answer] 消化器癌では, 過半数でp53遺伝子異常が認められており, 遺伝子異常に起因する変異型p53蛋白の蓄積にともなって患者血清中に抗p53抗体が誘導される(図1)1). 血清p53抗体検査は, 消化器癌のうち食道癌ならびに大腸癌に対して腫瘍マーカーとして保険収載されている. 血清抗体によるp53分子異常の診断は, 腫瘍細胞の生検を必要とせず, 繰り返し検索することが可能であるため, 治療経過のモニタリングにも応用可能である. 食道癌症例において, 病期別の陽性率を既存の腫瘍マーカーと比較すると, 全病期において高い陽性率を示し, 特にstage Iでは23%と既存の腫瘍マーカーの2~4倍程度の陽性率であった(図2)2). p53抗体陽性例と陰性例との予後の比較に関する報告では, 一般に陽性例で予後不良とされている. 特に, 抗体価の高い症例ではきわめて予後不良である3).
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。