古典的な医学では性差を扱う学門領域は,内外性器の形態と機能,思春期以降の体型など可視化できる対象に限られていた。しかし最近の知見の集積により,性差は全身の諸臓器に及び,特に脳にも性差があることが次第に明らかとなった1)。具体的には精神活動,心理,行動などは性差を考慮しないと理解し難い現象が多数ある。また前号で紹介したように,不安関連疾患,統合失調症などの臨床像には明らかな性差がある。