「出自を知る権利」の重要性は,養子縁組研究に基づいて認識されてきたが,わが国では,特別養子縁組制度の導入に際しても,公的な制度整備は行われず現在に至る。提供配偶子を利用する生殖医療で生まれた子について「出自を知る権利」を保証することが必要で,そのために配偶子提供者,被提供者,生まれた子の権利義務関係について,多様な家族のあり方を視野において,法律による明文化と関連する制度の整備を急ぐ必要がある。