2015年,英国はミトコンドリア病の遺伝予防に限り,受精卵や卵子中の異常ミトコンドリアを減じる核移植手技(ミトコンドリア提供)を解禁した。3年後,中国の研究者らはヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染抵抗性を付与すべく,受精卵のゲノム編集を実施し,無事に生誕したと報告したが,有罪判決を受けた。今後,日本も生殖細胞系列の遺伝的改変の実施可否を判断するかもしれない。しかし,これら実験的生殖手技を子の福祉のために実施するとしても,まずは,安全性や倫理の共通問題を踏まえ,国外でみられる規制の相違が意味することを熟考しなければならない。
特集 生殖医療の倫理的・法的諸問題
受精卵の核移植とゲノム編集の倫理
掲載誌
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Vol.29 No.4 45-51,
2022
著者名
石井 哲也
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
糖尿病・代謝・内分泌科
/
産婦人科
媒体
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Key Words
生殖細胞系列の遺伝的改変,核移植,ミトコンドリア提供,ゲノム編集,倫理問題
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。