2015年,英国はミトコンドリア病の遺伝予防に限り,受精卵や卵子中の異常ミトコンドリアを減じる核移植手技(ミトコンドリア提供)を解禁した。3年後,中国の研究者らはヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染抵抗性を付与すべく,受精卵のゲノム編集を実施し,無事に生誕したと報告したが,有罪判決を受けた。今後,日本も生殖細胞系列の遺伝的改変の実施可否を判断するかもしれない。しかし,これら実験的生殖手技を子の福祉のために実施するとしても,まずは,安全性や倫理の共通問題を踏まえ,国外でみられる規制の相違が意味することを熟考しなければならない。