近年,子宮性不妊女性の妊娠・出産のための選択肢として,「子宮移植」という新たな生殖医療技術が考えられるようになり,海外ではすでに臨床研究がなされ,2014年にスウェーデンにおいて,世界で初めての生体間子宮移植後の出産が報告された。この報告を機に国際的に子宮移植が新たな医療技術として急速に展開されつつあり,わが国でもその実施が期待されている。一方で,子宮移植には他の生殖医療と同様に解決すべき多くの医学的,倫理的,社会的,法的課題が内包されている。本稿では,子宮移植の現状に触れながら,代理懐胎との関連を含めて,子宮移植の倫理的・法的課題について概説する。