ゲノム解析技術の進歩は生命倫理的側面から社会に新たな葛藤をもたらしている。生殖医学分野における着床前遺伝学的検査(PGT)の臨床導入の過程では,検査に強い希望をもつ方がいる一方で,検査の普及が先天的障がいをもつ方への社会の理解を後退させるのではないかという強い懸念も示されてきた。日本産科婦人科学会では,PGT-Mに関する倫理審議会,PGT-A/PGT-SRに関する特別臨床研究を経て,PGTに対する社会におけるコンセンサスおよび受容形成を目指してきた。そして2022年1月にPGTに関する新たな見解を発表し,現在それに沿って3種類のPGTの検査実施体制の構築が進んでいる。本稿では,3種類のPGTが内包する生命倫理的な課題に触れつつ,見解が示す方向性について概説する。
特集 生殖医療の倫理的・法的諸問題
着床前遺伝学的検査の諸問題―生命倫理的側面を踏まえて―
掲載誌
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Vol.29 No.4 23-27,
2022
著者名
永松 健
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
産婦人科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Key Words
着床前遺伝学的検査,見解,生殖医療,生命倫理
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。