胎盤を構成するトロホブラスト(栄養膜)細胞の異常は,妊娠高血圧症候群(HDP),胎児発育不全による低出生体重児(SGA)などの周産期疾患の原因となる。しかし,これまで正常なヒトの栄養膜細胞を体外で培養することができなかったため,これらの疾患の病因や病態には不明な点が多く残されている。最近,ヒト栄養膜幹(TS)細胞の培養が可能となったことで,周産期疾患(great obstetrical syndromes)の発症メカニズムの理解に向け可能性が大きく広がった。ヒトTS細胞を用いた疾患モデリングにより,診断バイオマーカーや新規治療法の同定,個別化医療の開発が期待できる。
特集 ヒト胎盤機能と病態
ヒト栄養膜幹細胞と病態―疾患の病態モデル―
掲載誌
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Vol.28 No.3 37-42,
2021
著者名
小林 枝里
/
岡江 寛明
/
有馬 隆博
記事体裁
抄録
/
特集
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
産婦人科
/
糖尿病・代謝・内分泌科
媒体
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Key Words
エピゲノム,ヒト栄養膜幹(TS)細胞,全胞状奇胎
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。