「Summary」ラロキシフェンは血管内皮細胞において一酸化窒素(nitric oxide;NO)合成酵素であるeNOS(endothelial nitric oxide synthase)をリン酸化,活性化する。さらにラロキシフェンは血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor;PDGF)や10%胎仔血清により増殖状態にある血管平滑筋細胞の細胞周期回転の抑制,およびアポトーシスを誘導するという抗動脈硬化作用を有する。しかし心疾患リスクを有する高齢女性を対象にしたRUTH試験では,心血管関連死,非致死性心筋梗塞,急性冠動脈症候群を含む複合エンドポイントにおいて,プラセボ群と有意な差が認められていない。選択的エストロゲン受容体修飾薬(selective estrogen receptor modulators;SERM)のメタ解析でも,心血管疾患の発生に関して,デメリットはないものの,予防効果も示されていないのが現状である。一方,SERMの重大な副作用である静脈血栓塞栓症発症のリスクは明らかに増加することが報告されている。
「Key words」ラロキシフェン,動脈硬化,血管内皮細胞,血管平滑筋細胞,心血管疾患
「Key words」ラロキシフェン,動脈硬化,血管内皮細胞,血管平滑筋細胞,心血管疾患