Summary  プロラクチン(PRL)は下垂体前葉からだけでなく胎盤でも産生され,羊水中のPRLは脱落膜細胞より移行していると考えられている。インスリン様成長因子(IGF-Ⅰ),インスリン,リラキシン,アラキドン酸やさまざまなサイトカインが脱落膜由来PRLの分泌促進や抑制に働き,下垂体由来のPRLとは異なる制御がなされている。  胎盤では,23kDaのPRLは妊娠高血圧症候群(PIH)で高発現する傾向がみられた。一方,14kDaおよび16kDaの胎盤PRLはPIHでは発現がみられたが,正常妊娠では発現が認められなかった。妊娠中において胎盤由来のlong form PRL(23kDa)とshort form PRL(14kDa/16kDa)の不均衡が生じ,抗血管新生が優位になると子宮胎盤の血流不全が生じ,その結果,PIHが生じる可能性が示唆された。 Key words ●プロラクチン ●胎盤 ●妊娠高血圧症候群(PIH)