Summary
プロラクチン(PRL)は下垂体前葉からだけでなく胎盤でも産生され,羊水中のPRLは脱落膜細胞より移行していると考えられている。インスリン様成長因子(IGF-Ⅰ),インスリン,リラキシン,アラキドン酸やさまざまなサイトカインが脱落膜由来PRLの分泌促進や抑制に働き,下垂体由来のPRLとは異なる制御がなされている。
胎盤では,23kDaのPRLは妊娠高血圧症候群(PIH)で高発現する傾向がみられた。一方,14kDaおよび16kDaの胎盤PRLはPIHでは発現がみられたが,正常妊娠では発現が認められなかった。妊娠中において胎盤由来のlong form PRL(23kDa)とshort form PRL(14kDa/16kDa)の不均衡が生じ,抗血管新生が優位になると子宮胎盤の血流不全が生じ,その結果,PIHが生じる可能性が示唆された。
Key words
●プロラクチン ●胎盤 ●妊娠高血圧症候群(PIH)
全文記事
プロラクチンの生理・病理の新展開
胎盤由来のプロラクチン
掲載誌
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
Vol.18 No.3 39-45,
2011
著者名
沖本直輝
/
舛本明生
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増山寿
/
平松 祐司
記事体裁
特集
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全文記事
疾患領域
代謝・内分泌
診療科目
産婦人科
媒体
HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。