Answer バイオマーカーとしてのCRP  動脈硬化のメカニズムは,血管内皮傷害を発端とする炎症であるとする概念が広く知られている.その炎症を反映する高感度CRP(hs-CRP)は,前向き大規模臨床試験や疫学研究によって,冠動脈疾患,脳卒中や末梢動脈疾患などの独立危険因子であることが示され,動脈硬化性疾患の発症や予後が予測できるバイオマーカーの1つとされている1)2).  炎症と血栓形成には密接な関連があり,hs-CRPと同じく重要なバイオマーカーとされているのが,血漿粘度の規定因子の1つであり血小板凝集や血管内皮傷害に作用するフィブリノゲンである.最近の臨床研究により,hs-CRP値とフィブリノゲン値がともに頸動脈内膜中膜厚と正の相関を示すことが明らかとされている3).しかし,炎症反応と血栓性素因は互いの増悪因子となるため,生体内ではどちらが先に起因となるか判別は難しいことが多い.さらにCRPなどのマーカーは単に病態の指標であるのか,あるいは実際に生体内で作用して病態の原因になるのか,などについて議論が続いている4).