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バイオマーカーとしてのCRP
動脈硬化のメカニズムは,血管内皮傷害を発端とする炎症であるとする概念が広く知られている.その炎症を反映する高感度CRP(hs-CRP)は,前向き大規模臨床試験や疫学研究によって,冠動脈疾患,脳卒中や末梢動脈疾患などの独立危険因子であることが示され,動脈硬化性疾患の発症や予後が予測できるバイオマーカーの1つとされている1)2).
炎症と血栓形成には密接な関連があり,hs-CRPと同じく重要なバイオマーカーとされているのが,血漿粘度の規定因子の1つであり血小板凝集や血管内皮傷害に作用するフィブリノゲンである.最近の臨床研究により,hs-CRP値とフィブリノゲン値がともに頸動脈内膜中膜厚と正の相関を示すことが明らかとされている3).しかし,炎症反応と血栓性素因は互いの増悪因子となるため,生体内ではどちらが先に起因となるか判別は難しいことが多い.さらにCRPなどのマーカーは単に病態の指標であるのか,あるいは実際に生体内で作用して病態の原因になるのか,などについて議論が続いている4).
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血栓症に関するQ&A PART6
2.検査・診断 Q18 高感度CRPは血管炎症のマーカーとして使用されていますが,血栓症の発生にどのように作用しているのですか
掲載誌
血栓と循環
Vol.19 No.1 67-70,
2011
著者名
伊澤淳
/
池田宇一
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
血液
/
脳血管障害
診療科目
循環器内科
/
心臓血管外科
/
脳神経外科
/
神経内科
/
血液内科
媒体
血栓と循環
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。