「Summary」わが国では高度経済成長期に工場や発電所を主な発生源とする大気汚染が顕在化し,四日市喘息に代表される深刻な健康被害が発生した。その後,種々の大気汚染防止対策が進められ,工場などに由来する大気汚染は改善したが,代わって自動車交通量の増加に伴って自動車排出ガスへの曝露による喘息の増加などの健康影響が問題となった。これに対しても,自動車NOx・PM法に基づく自動車排出ガス規制が進められ,改善傾向が認められている。近年は,微小粒子状物質(PM2.5)および光化学オキシダントによる大気汚染が問題となっている。これらは大気中で二次的に生成されるものや越境汚染に由来するものなど,発生源が多様であり,従来の大気汚染のように限られた地域だけでなく,広域的な汚染を引き起こしている。現在の大気汚染は地域的な問題ではなく,地球規模の問題となっており,改善するためには国際的な取り組みが必要である。
「Key words」四日市喘息,自動車排出ガス,微小粒子状物質,光化学オキシダント,環境基準
「Key words」四日市喘息,自動車排出ガス,微小粒子状物質,光化学オキシダント,環境基準