「Summary」特発性肺線維症(IPF)は、慢性進行性で、不可逆的な線維化による蜂巣肺を生じる予後不良の疾患である。近年の研究から、オートファジーの低下が肺線維症の病態を促進している可能性が示されている。本稿では、肺線維症の病態修飾因子である小胞体ストレス、酸化ストレス、低酸素、ウイルス感染とオートファジーとの関連をまとめたうえで、肺線維症におけるオートファジーについての知見を解説する。
「Ⅰ 概要」特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)は,慢性進行性で,不可逆的な線維化による蜂巣肺を生じる予後不良の疾患である1)。その原因は不明であるが,上皮細胞の傷害とそれに引き続く異常な肺の修復・治癒機転が主要な病態と考えられている2)。オートファジーはリソソームにおける自己細胞質成分の分解システムであるが,さまざまな疾患の病態に関与していることが知られている3)。
「Key words」小胞体ストレス,酸化ストレス,低酸素,ウイルス感染
「Ⅰ 概要」特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis;IPF)は,慢性進行性で,不可逆的な線維化による蜂巣肺を生じる予後不良の疾患である1)。その原因は不明であるが,上皮細胞の傷害とそれに引き続く異常な肺の修復・治癒機転が主要な病態と考えられている2)。オートファジーはリソソームにおける自己細胞質成分の分解システムであるが,さまざまな疾患の病態に関与していることが知られている3)。
「Key words」小胞体ストレス,酸化ストレス,低酸素,ウイルス感染