Summary
喀血の発症メカニズムを,気管支動脈塞栓術(BAE)の有効性という側面から考察した。BAEは,喀血が気管支動脈–肺動脈シャント(B–Pシャント)の破綻によって起きるという作業仮説に基づく治療法である。当センターにおけるBAEの最終止血率は95.5%であり,これがB–Pシャントによって説明され,それ以外の4.5%が肺動脈性出血とおおむね考えられるが,CTアンギオによる解析でも同程度の比率となっている。また感染性空洞性疾患の喀血源については,肺動脈の破綻が主体であるが,単純な肺動脈破綻でなく,B–Pシャントの存在がこれに大きく関与している。
喀血に対する対処法には,気管支鏡によるオキシセルロース充填法(ETUO),BAE,外科手術の3つが存在する。ETUOは呼吸器内科医自身にとって身近な気管支鏡インターベンションであり,第1選択になりうる治療と思われるが,長期的止血率に関する検討が待たれる。BAEは,いまや有効で安全な治療法であり喀血治療のゴールドスタンダードであるが,いまだ十分には普及しておらず,今後の発展が期待される。手術はBAEでコントロールできない症例に対する最終手段である。
全文記事
呼吸器と循環器のクロストーク―薬物の進歩―
喀血を伴う疾患の発生メカニズムとその対処
A mechanism and treatment choices of hemoptysis, up to date
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.19 No.4 22-27,
2011
著者名
石川秀雄
/
長坂行雄
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
呼吸器
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
呼吸器内科
媒体
THE LUNG perspectives
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。