Summary
中枢性CO2/H+受容器(いわゆる中枢化学受容器)は延髄腹側表面近くに存在すると考えられてきた。最近の10年間の研究において,その細胞機構に関して注目すべき進展があった。中枢化学受容器として働くことができる細胞機構として,吻側腹外側延髄のretrotrapezoid nucleus(RTN)のグルタミン作動性ニューロン,延髄腹側表面のグリア細胞(ATPまたはアセチルコリン分泌細胞),延髄縫線核群のセロトニンニューロンなどが考えられている。特に,RTNのCO2受容ニューロンは転写因子Phox2bを特異的に発現していることが発見された。さらに新生児においては,RTN/Phox2b発現ニューロンはCO2感受性をもつと同時に,呼吸リズムジェネレーターを構成するニューロン(pFRG)であることが明らかになった。この総説では,中枢化学受容器について,RTN/pFRG Phox2b陽性ニューロンに関する最近の知見を中心に概説するが,これらの異なる細胞機構をもつ化学受容器は,生体におけるホメオスタシスの維持のために協調して働くものと思われる。
全文記事
呼吸不全の臨床―病態と治療―
中枢性CO₂/H⁺受容機構と呼吸リズム形成
Central CO₂/H⁺ receptor mechanisms and respiratory rhythm generation
掲載誌
THE LUNG perspectives
Vol.19 No.1 68-75,
2011
著者名
鬼丸洋
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
呼吸器
/
神経疾患
診療科目
呼吸器内科
/
神経内科
媒体
THE LUNG perspectives
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。