間質性膀胱炎(ハンナ型,またはハンナ型間質性膀胱炎:HIC)とは,強度の膀胱・下腹部痛と頻尿・尿意切迫などの下部尿路症状を特徴とする原因不明の慢性泌尿器疾患であり,特に症状の強い重症型は泌尿器科領域唯一の指定難病となっている。これまでも女性優位の罹患率や全身の自己免疫疾患を合併しやすいという疫学的特徴から膀胱の免疫疾患である可能性が指摘されていたものの,その病態生理は未解明で根治治療もない。しかし,最近になってHIC膀胱組織におけるTh1/17型免疫応答の亢進や浸潤B細胞のクローナル増殖が明らかにされ,その免疫疾患としての分子生物学的エビデンスが徐々に蓄積されている。本論文ではゲノムワイド関連解析(GWAS)によって複数のヒト白血球抗原(HLA)遺伝子がHICの発症に関連していること,リスクアミノ酸バリアントが主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)クラスⅡ分子の抗原結合部位に位置していることを突き止め,HICにおける免疫異常の一端が明らかにされた。本研究成果を端緒にHICの詳細な遺伝的背景とその病態への機能的関与が解明され,病態生理のさらなる理解とバイオマーカー・治療薬開発の進展が期待される。